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『カンブリア宮殿』 8月24日

カンブリア宮殿』 テレビ東京(月)22:00~
公式HP:http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
出演者:村上龍、小池栄子、海老名信緒
◆カンブリアFile No.162 ヱビナ電化工業社長 海老名信緒
●『超ハイテク町工場
町工場が立ち並ぶ東京・大田区。
めっき会社のヱビナ電化はその一角にある。
10年前に改装され、設備も一新。ここで100人の従業員が働いている。
「めっき」とは、化学反応を利用して素材の表面に金属の薄い膜をつけること。
これはアルミ合金のカメラボディ。それをニッケルめっきの液につける。
すると化学反応が起こり、液の中に含まれているニッケルが素材の表面について薄い膜を作る。
出来上がるとピカピカに。これがめっきだ。

めっきは、装飾やサビの防止、そして電気を流れやすくするため、古くから行われてきた。
私たちの生活はかなり めっきのお世話になっている。
例えば水道の蛇口、灰皿、そして傘の柄や骨にもメッキが使われている。
しかしヱビナ電化では、こうした めっきは一切やっていない。
ヱビナ電化はローテクの めっきをハイテクに変えた。
様々な電子部品はもちろん、ガラス基板への めっき、さらに直径0.01ミリという極めて細いカーボン繊維への めっきなど新技術を開発した。
素材に新たな性能を与える高機能めっき。
その分野でヱビナは他の追随を許さない。
中にはこんなものも。
ギネスブックに”人間が作った最も色の黒い物質”として認定されている「ウルトラブラック」。
世界一黒いウルトラブラックとは一体どんなものなのか。
特別に見せてもらった。
前処理されたアルミ合金を特殊な溶液に25秒つける。
表面から泡が出てきた。
水に入れて化学反応を止める。

一見、普通の黒のようだが それを乾かすと表面は真っ黒いベルベット状に見える。
普通のものと比べてみる。
ライトを当てるとウルトラブラックの方はほとんど光らない。
反射率は1%以下。

一体なぜ光を反射しないのか。
特殊な溶液に入れると無数の泡が出てくる。
実はこの時めっきされた表面が削られているのだ。
電子顕微鏡で見るとウルトラブラックの方は表面がデコボコになっている。

元々は計測器メーカーのアンリツが発明。NECグループが宇宙用に開発した。
それが実現したのはヱビナ電化が工業化に成功したからだ。
ヱビナ電化工業は戦後まもない1946年、海老名の父・平吉が創業。
メーカーから発注される めっき加工をこなすどこにでもある町のめっき屋さんだった。
当時のヱビナ電化を支えたのがホンダのスーパーカブ。
そのバックミラーのめっきを受注したことで順調に発展していった。
慶應の大学院で電気化学を学んだ海老名が入社したのは1974年。
だが80年代に入ると円高不況で仕事は激減。
ヱビナ電化は窮地に陥った。
この危機を変革のチャンスに変えたのが当時、技術部長だった海老名だ。
1984年、海老名は先端技術の視察のためアメリカを訪れた。
あるメーカーを訪ねた時、先方の技術者がパソコンのボディを見せながらこう言った。
「プラスチックにメッキをすれば電磁波が漏れなくなるんです」
海老名は驚いた。
当時、アメリカではプラスチックボディの携帯型パソコンを開発中だった。
しかし、ボディがプラスチックだと体に有害な電磁波が外に漏れ出す。
その対策が課題となっていたのだ。
”日本でも必要になる”
ヱビナは仲間と共にパソコン用「電磁波シールドめっき」を研究。
86年、工業化に成功した。
そして日本でもノートパソコンの時代に。
すでに量産体勢を整えていたヱビナ電化は一気に業績を上げた。
さらに携帯電話の爆発的な普及。
ヱビナ電化は電磁波シールドめっきの分野でトップシェアを独走した。

ヱビナ電化の年間売上は約16億円。
先を読む目でこの不況を生き抜いている。
そしてこの夏、ヱビナは新たなターゲットに向けて動き始めた。
今、アメリカではパソコン機能を持つ携帯電話のスマートフォンが大人気。
ヱビナが受注したのはアメリカのパーム社製スマートフォン。
その内臓アンテナのめっきだ。
金色の部分がアンテナ。3つの機能のアンテナをめっきする。

当初、パーム社は中国で生産していたが、めっきが雑で汚れなどが目立ち、トラブルが続出した。
そこでヱビナ電化に白羽の矢が立った。
プラスチックに均一で簡単には剥がれないめっきを施す。
ヱビナ電化の技術はどこにも真似できない。
世界の企業が頼りにするめっき屋さん、それがヱビナ電化工業だ。
そのモットーは「SPEED PLUS」。
仕事のスピード、経営のスピード、そして時代を読むスピードだ。
●『女だらけの めっき工場
ヱビナ電化の開発部門は結構女性が多い。
実はヱビナは女だらけのめっき工場。
特に約50人いる技術者の半数が女性だ。
大企業の採用はまだまだ男優先。
成績優秀でも女だからという理由で門前払いされることも少なくない。
ヱビナはそんな女性達を10年前から積極的に採用してきた。
●『「即断」「即決」「即実行」超スピード社長の経営術
海老名がどこかに出かけるというので連れて行ってもらうことにした。
動向するのは大田区の社長仲間たち。
向かった先は長野県。
新しい技術の種を見つけるため、海老名たちは定期的に各地を視察している。
着いたのはは消防用ホースの金具や消火栓のバルブなどを作っているメーカーだ。
海老名はどんなものにでも興味を示す。
異業種の中にこそ、新たなビジネスのヒントが隠されていると海老名は言う。
また、2年に一度はヨーロッパを視察する。
日本企業がまだ手をつけていない市場の動きをいち早く捕まえるためだ。
こうして見つけたビジネスの種を育てるため、海老名は7年前ある施設を造った。
それがこのテクノマーク。世界初の、めっき専門の研究所だ。
これは超高性能な電子顕微鏡。値段は1億円。ここにつぎ込んだ費用は総額5億円。

一流大学も及ばない最先端の研究施設を持つ理由を海老名はこう語る。
海老名:「人間の能力を生む」「技術を生む」そういうところにお金を使いたいと思って機械を導入しました。
◇ヱビナ電化工業⇒http://www.ebinadk.com/

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