『カンブリア宮殿』 テレビ東京(月)22:00~
公式HP:http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
出演者:村上龍、小池栄子、木村清
◆カンブリアFile No.172 喜代村社長 木村清
●『不況でも急成長 常識破りの寿司屋』
「すしざんまい」は今までの寿司屋とは違う独自のスタイルを築きあげ、急成長を成し遂げた。
「すしざんまい」の総本山・築地本店。
年間70万人が来店、17億円の売り上げを誇るこの店。
その人気の秘密とは…
なんといっても明朗会計。
メニューを見れば値段が一目瞭然。しかもかなり安い。
他の店で食べれば時価は間違いなしのクロマグロの大トロが418円。
回転寿司より質は高いが普通の寿司屋より格安。
それが客を呼ぶ。
そしてもう一つ、年中無休24時間いつでも開いていること。
24時間営業の「すしざんまい」だけに魚の供給は命綱。
そこで生まれたのが独自の仕入れシステムだ。
通常、店は仲卸を通して魚を買っている。
しかし、「すしざんまい」は卸から直接仕入れる権利を持っているため、仲卸を通さずに大量に魚を買っていた。
卸から仕入れるのはコハダやアジなどの大衆魚。
しかし、仲卸ともしっかり付き合うのが「すしざんまい」流だ。
目利きが大切な高級魚は仲卸から買う。
だがこれだけではない。
すしざんまいは、北海道・三崎・小田原・福井・長崎など全国の漁港と直接契約。
地場の魚を市場を通さずに取り寄せていた。
卸、仲卸、さらに漁港との直接取引。
3つのルートを持つ仕入れシステムで24時間営業が可能となった。
従来の古い流通を打ち破った「すしざんまい」。
今や年商125億円の寿司チェーンに成長した。
●『寿司屋が取り組む”漁業革命”』
スペイン・カルタヘナ。
首都マドリッドから450キロも離れた地方都市。
そこに木村の姿があった。
向かった先は海に浮かぶ巨大ないけす。
マグロの漁獲で世界最大級を誇るスペインの大手水産会社が保有するものだ。
このいけすでは地中海で獲れたクロマグロを備蓄していた。
スペインは世界有数のクロマグロの水揚げ国。その8割が日本に輸出されている。
木村は20年前、この地を訪れ、地元の漁業者たちとこの備蓄システムの開発に取り組んだ。
今もその関係は続いている。
身を傷つけると価値が下がるクロマグロ。
直接ダイバーたちがいけすに潜り、一匹ずつ細心の注意を持って捕獲する。
地中海だけではない。
木村はカナダやメキシコなど世界中のクロマグロを備蓄するいけすと取引をしている。
だが木村の野心はマグロだけでは収まらなかった。
愛媛県南宇和郡。
そこに木村の姿があった。この沖合いに木村自慢の魚がいるという。
いけすの中にいたのはサバ。
あの高級ブランドで知られる関サバとほぼ同じ漁場の豊後水道で獲れた一万匹の真サバをこのいけすで備蓄していたのだ。
ウロコの無いサバは表皮が敏感なため、これまで備蓄は不可能と考えられていた。
しかし、5年がかりの研究の末、サバを最大3ヶ月間備蓄する方法を開発した。
高級マグロから高級サバまで…
木村は今、漁業の常識さえ変えようとしている。
●『自衛隊から秘カラオケ… 社長の仰天半生』
木村は15歳の時、パイロットを目指し航空自衛隊に入隊。
だが事故で目を悪くしその道を断念していた。
木村の半生はユニークそのものだ。
1974年、水産会社に入社した木村は営業マンとして働き始め、その才能を開花させる。
当時、木村が売っていたのは冷凍の枝豆。
売り先はビアガーデンだった。
だが秋になると屋外のビアガーデンが閉店してしまうためほとんど売れない。
そんな時、使われていない倉庫が木村の目に留まった。
木村は閃いた。
”ないなら作ればいいんだ”
木村は倉庫のオーナーと交渉し、格安で使用の許可を得る。
なんと、そこに木村は屋内ビアガーデンを作ってしまった。
寒さを凌げるよう、だるまストーブも置いた。
すると狙いは的中。
勤め帰りのサラリーマンが押し寄せ大繁盛。
木村は枝豆を売り続けることが出来た。
1979年に木村は独立。
まだ出始めだったカラオケやレンタルビデオ店など幅広い分野で経営手腕を発揮。
アイデア満載の事業を80以上も手がけていた。
そして2001年、年中無休24時間明朗会計、寿司屋の常識を破る店を誕生させた。