『カンブリア宮殿』 テレ東(月)22:00~
公式HP:http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
出演者:村上龍、小池栄子、河原成美
◆カンブリアFile No.143 力の源カンパニー社長 河原成美
●『博多一風堂 集客力No.1ラーメン』
今から11年前(1998年1月放送「TVチャンピオン」)、並み居るラーメン職人を相手に日本一となったのが河原成美。
九州博多から名乗りを上げたトンコツラーメンの雄。
あれから11年、横浜の店を訪ねてみると客の行列が出来ていた。
今や一風堂はラーメンファンなら誰もが知っている人気店だ。
昼時にはいつも客が溢れているという。
コクが売りの「赤丸かさね味(850円)」と、さっぱり味の「白丸元味(750円)」。
これが一風堂の2大看板だ。この味が客を呼ぶ。
一風堂は全国に37店舗を展開。売り上げは64億円。
数百店舗を展開する幸楽苑や日高屋と比べると総売り上げでは当然劣る。
だが一店舗当たりの売り上げで見ると業界ダントツの強さを誇っている。
その強さの秘密を河原が明かしてくれた。
博多一風堂・横浜工場のスープ室。
ここは一風堂の味を決める心臓部だ。
スープは3つの自社工場で一括して仕込んでいる。
スープはラーメン屋の命。河原は、どんなに忙しくても月に一度は工場に足を運び自らの舌で味をチェックして回る。
一風堂自慢のとんこつスープ。
その作り方には日本一の職人・河原ならではのこだわりがある。
ある釜には豚頭(豚の頭の骨)を入れ、別の釜には膝関節のげんこつとロース骨と呼ばれる背骨を入れる。
多くの店ではこれらを同じ釜で一緒に煮る。
しかし河原は別々に煮る。旨味を引き出す時間が違うからだ。
そして、別々に煮たスープを最後にブレンドすることで一風堂の味が完成するという。
一風堂の圧倒的な集客力の秘密は、この味へのこだわりだった。
しかし強さの秘密はそれだけではない。
この日、五反田店にやってきた河原は、スタッフにこう語りかけた。
「店は舞台なんです。一風堂のラーメンを食べに来ているんじゃない。お客さんは一風堂のトータルの空間を楽しみに来ているんだ。活気が溢れる空間で、一風堂の赤丸、白丸が食いたいんだ。」
”店は舞台”
この言葉こそ一風堂の原点であり、強さの秘密だった。
その原点は福岡・博多。
30代前半、レストランバーを経営していた河原がラーメンにのめり込むきっかけとなったのは、ある女性客のこんな一言だった。
「ラーメンは好きだけど、ラーメン屋は汚くて怖いから女の子だけじゃ入れない」
たしかに当時は、頑固おやじの汚いラーメン屋の方が旨いと最もらしく言われていた。
脂で汚れたカウンターに、窮屈なビニールの丸椅子、ボリュームを上げたテレビ。
とても女の子が食事を楽しめる店ではなかった。
”女の子1人で入れるラーメン屋を作ればいいんだ”
そんな想いから河原は1985年、「博多一風堂」をオープン。
名前には、「かつてない店でラーメン界に一陣の風を吹かせよう」という想いを込めた。
河原が言う、店は「舞台」。
その仕掛けとは…
店内にはモダンジャズが流れ、内装は木の風合いを生かした落ち着いた雰囲気。これがラーメンを楽しんでもらうための舞台だ。
カウンターに目をやると丼が紅白に並んでいる。器は舞台のセット、目で客を楽しませる。
演じる店員たちの衣装はデザインにこだわったオリジナル。一風堂が先駆けだという。
そして店員の4割が女性。実はこれ、女性客が気軽に入れるためのキャスティング。
今や一風堂では客の4割が女性。
河原の演出がラーメンの新たな客層を開拓したのだ。