『カンブリア宮殿』 テレ東(月)22:00~
公式HP:http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/bn/index.html
出演者:村上龍、小池栄子、柳井正
◆カンブリアFile No.127 ファーストリテイリング会長兼社長 柳井正
◇ユニクロ第二弾
●『不況の王者ユニクロ これがヒートテックだ!』
発売から4ヶ月で早くも品切れする店が続出。
それが高機能インナー「ヒートテック」だ。
人気の秘密は、まず第一に生地が薄いのに温かいということ。
素材のマイクロアクリルがエアポケットを作り、体の熱を外に逃がさない。
温かいだけではなく、デザインやカラーも充実しており、機能性とファッション性を兼ね備えたことで大ヒットとなったのだ。
この冬、2800万枚を用意したが売り切ることは確実。
あのフリースでさえ2600万枚だったからユニクロ最大のヒットとなることは間違いない。
”フリースを超えるヒット商品を”
そのためには全く新しい素材が必要だった。
柳井が手を組んだのは、80年の歴史を持つ合成繊維の最大手「東レ」だった。
東レの繊維技術は世界でもトップクラス。
得意の炭素繊維は飛行機の胴体や翼、最近では車のボディにも使われ始めている。
東レというパートナーを得て、ヒートテックの開発は始まった。
そのカギとなった石川県の工場。そこにはヒートテック専用のラインが存在する。
ここで作られているポリエステルの糸は特殊なものだ。
電子顕微鏡で見ると丸型と星型の2種類の繊維で出来ている。
2種類の繊維が作る隙間が水分を吸収し外に逃がして乾燥させる。
ヒートテックの売りの一つ、「ドライ性能」の秘密は2種類のポリエステル繊維にあったのだ。
だがそれだけではない。
ヒートテックはドライ性の他に保温性、保湿性、伸縮性などの機能を持っている。
そこで、ポリエステルを軸にアクリル、レーヨン、ポリウレタンなどを組み合わせて、ようやくヒートテックの生地が出来るのだ。
しかし生地が出来て終わりではない。
東レの大阪本社。ここには製品化までの苦労の痕跡が残されていた。
そこにあったのはヒートテックの完成に至るまでに作られた試作品。その数、ゆうに1000点を越えるという。
こうした試行錯誤の末、ようやくヒートテックは完成した。
2008年10月、柳井はヒートテックをユニクロの世界戦略の武器にしようと考え、プロジェクトを立ち上げた。
そのパッケージデザインを担当したのがアートディレクターの佐藤可士和だ。
佐藤は企業のシンボルや商品パッケージなどブランドイメージを決めるデザイン戦略に定評がある。
民間だけでなく官庁からも引っ張りだこ。日本を代表するクリエイターの1人だ。
佐藤がデザインしたキャンペーン用のパッケージが出来上がった。
パッケージには「JAPAN TECHNOLOGY」の文字。
そこには柳井と佐藤が共通して持つある想いが込められていた。
「高品質というイメージを世界に打ち出していくときに日本製と言った方が伝わりやすい」
そして11月、ニューヨークのど真ん中、タイムズスクエアに長蛇の列が出来た。
そこにユニクロの文字が。
ユニクロはヒートテックをタダで配るという一大キャンペーンに打って出たのだ。
キャンペーンの成果はすぐに現れた。さっきヒートテックを貰ったばかりの客が早速お店に買い物に来ていたのだ。
人気は上場、ヒートテックが世界の冬を変えるかもしれない。
●『ユニクロ VS H&M 銀座アパレル戦争』
「H&M」とは、9月に日本に初上陸したスウェーデンの衣料品ブランド。
ファッションショーで話題となった最新の流行をいち早く商品化、それを手ごろな価格で販売するというのがH&Mの強みだ。
銀座は世界有数のカジュアル衣料激戦区。
アメリカの「GAP」、スペインの「ZARA」、スウェーデンの「H&M」と海外の人気ブランドが鎬を削る。
規模を比べてみると世界一が「GAP」2位が「ZARA」3位が「H&M」という順番。
ユニクロは第7位だ。
ユニクロの前に立ちはだかる海外ブランド。
柳井もさぞかしピリピリしていると思いきや…意外にも余裕。
H&Mは怖くないのか、柳井に本音を聞いてみると…
「ユニクロとH&Mは対照的。H&Mは”ファッション”を売る業態でいかに早く流行を売るかが勝負。ユニクロはベーシックな付加価値の高い服を売っていく。お互い狙いが全然違う。」
●『不況の王者ユニクロ オフィスに○○がない!』
ユニクロ一人勝ちの秘密、それはユニークなオフィスにも隠されていた。
◇オフィスの秘密①「机がない」
ユニクロのオフィスは、部署ごとの壁や仕切りがない大部屋。
一人一人の席は決まっておらず、毎日自分の仕事がしやすい席を選ぶ。
いつでも簡単に会議が出来るのでとても効率的なのだ。
◇オフィスの秘密②「イスがない」
もちろんユニクロにも会議室はある。だがそこにはイスがない。
会議を迅速に終わらせるためだという。儲かる会社は会議もスピード勝負なのだ。
◇オフィスの秘密③「会話がない」
大部屋とガラスを隔てた向こう側の部屋。
ここでは会話や携帯は厳禁。一人で集中して仕事をしたい時に使われる。
◇オフィスの秘密④「明かりがない」
夜7時になると電気が消えるユニクロ本部。
実はユニクロでは残業は原則禁止。仕事も早く、帰宅も早くがユニクロの掟なのだ。