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『カンブリア宮殿新春スペシャル』 1月5日

カンブリア宮殿』 テレ東(月)22:00~
公式HP:http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
出演者:村上龍、小池栄子、カルロス・ゴーン
○「カンブリア宮殿新春スペシャル カルロス・ゴーンがすべて語る90分」
◆カンブリアFile No.130 日産自動車社長 カルロス・ゴーン
日産自動車は1933年、前身の「自動車製造株式会社」として誕生。
トヨタと並んで日本の自動車産業の礎を築いた。
戦後、1959年には「ダットサン ブルーバード」を発売。
小型で性能も良いこの車が大ヒットし、マイカー時代の幕開けとなった。
1966年には「サニー」を発売。
トヨタの「カローラ」との間で熾烈な販売競争を繰り広げながら日本のモータリゼーションを牽引していった。
その後も日産は「ローレル」「シルビア」など魅力ある車を次々と世に出す。
その中でも大人気となったのが「スカイライン」で、日産は若者たちの心を捉えた。
だが80年代になると市場シェアでライバル・トヨタに次第に水をあけられていく。
1992年、日産は遂に赤字に転落。
その後、7年間で実に6回もの赤字。
日産はこの時、2兆円を超える負債も抱え、破綻寸前にまで追い込まれていた。
そして1999年3月。
絶体絶命の危機に追い込まれた日産はフランスの自動車メーカー「ルノー」と資本提携。
そのルノーから再建役として送り込まれてきたのがゴーンだった。
当時ルノーの副社長だったゴーンは会社再建の手腕に優れていた。
1996年、タイヤメーカーの「ミシュラン」からヘッドハントされて「ルノー」へ。
赤字に転落していたルノーの再建を任され、わずか1年で見事黒字に変えてみせた。
その経営手腕を買われ今度は日産の再建を託されたのだ。
日産に乗り込んだゴーンはすぐに行動に出た。
日本はもちろん世界数百ヶ所の工場や販売店、納入業者を訪ね、数千人の現場の声に耳を傾けた。
どこに問題があるのか徹底的に調べていった。
そして半年後。
ゴーンが半年をかけて練り上げた日産の再建計画。
それはまさにリバイバル、日産の再生をかけたプランだった。
ゴーンの再建策の骨子は、1兆円を超えるコスト削減を図る徹底したリストラだった。
そして、ゴーンは1年後には黒字化、3年後には負債を半減させるという不可能とも思える公約を掲げた。
さらにゴーンはこう宣言した。
「公約を実現できなければ社長を退陣する」と。
不退転の決意で臨んだゴーン改革。
東京の村山工場をはじめ国内で5つの工場を閉鎖、2万人以上の人員を削減した。
さらにタブーにも踏み込んだ。
それは聖域ともいえる系列の解体。
日本的なしがらみを断ち切ることで部品調達の大幅なコストダウンを図ったのだ。
そして1年後、公約通り黒字化を達成。
わずか1年でV字回復をやって見せたのだ。
攻めに転じたゴーンは次々と新車を発表していく。
2002年には売れ筋のコンパクトカー「マーチ」を10年ぶりに全面リニューアル。
これが大ヒット。この分野でホンダを抜き、2位の販売台数を記録した。
さらにこれまで手をつけてこなかった軽自動車市場にも参入し事業を拡大していく。
そして日産のシンボルでありながら生産中止に追い込まれていた「フェアレディZ」を復活、スポーツカー市場を席巻した。
こうして2004年度には過去最高益を達成。
日産を完全に蘇らせた。
○『村上龍の質問
Q.「再建できる会社の基準は?」
A.どのような状況でも再建は可能です。経営の失敗という問題は必ず立て直すことが出来るのです。希望のないケースというのはありえません。十分なエネルギーを持って事に臨めばどのような問題であれ解決できます。再建が可能です。私は自信を持って申し上げますがどのような会社であれどのような状況であれ、組織がダメになっていたとしても適切な計画と人材がいれば解決できます。「もう駄目だ、無理だ」とか「経営なんかできない」とは決して言えませんよ。”人”が起こした問題ですから解決できないことはありません。


●『世界同時不況 ゴーンはどう乗り越える!?
2008年12月、アメリカの議会にビッグ3と言われる自動車メーカーのトップが揃って姿を現した。
この時、GMの債務超過だけでも5兆円以上。
金融危機による損失、販売台数の急減でビッグ3は破綻寸前。巨額の政府支援を必要としていた。
この事態にブッシュ大統領は、政府のつなぎ融資による延命措置をはかった。
条件は大幅な人員削減と経営の抜本的な見直し。タイムリミットは3月だ。
自動車不況の嵐は日本でも吹き荒れた。
王者トヨタが1500億円の赤字。ホンダも下期1900億円の赤字見通しを発表した。
そして日産も大幅な減産を強いられた。
この事態にゴーンは社員たちを集め、檄を飛ばした。
「この危機は日産だけの問題ではない。トヨタ、ホンダ、マツダ、三菱、ルノー、メルセデス、BMW、GM、クライスラー、すべてのメーカーが直面している問題。部品メーカーも販売会社も他の業界もこの嵐に直面している。誰もが生き残れるわけではない。犠牲となる会社が出てくる。戦わなければならない。社員一人ひとりの力が必要。それぞれの役目を果たしてほしい。」
果たしてゴーンはこの危機をどう乗り越えるつもりなのか?
○『村上龍の疑問
Q.「ビッグ3は救済すべきか?」
A.個人的には救済するべきだと思います。自動車産業はアメリカでは労働者人口の約10%を占めています。フランスでもドイツでも同じで日本はそれ以上でしょうか。これは自動車メーカーだけでなく部品の供給先や販売会社も併せた全ての数字です。ですから国家にとって自動車産業は極めて重要なんです。だから「破綻させてしまえばいい」なんて簡単には言えないんですよ。自動車産業というのは国の経済や社会全体にとってとても重要な産業ですから「どうでもいい」「市場原理に任せておけばいい」というわけにはいきません。救済は良い決断です。
Q.「GMの経営を任されたら?」
A.実際にGMの再建を頼まれたことはないので何とも言えません。ただ会社の経営者が「再建計画がある」「再建できる」と言うのであれば私は信用します。私自信がその立場だったらどうするかは分かりません。それぞれの状況は知りませんので、ただ、日産に来たときも「何をすべきか」最初から分かっていた訳ではないです。社員とともにそれを見出したのです。社員と一緒になって時間をかけて考えなければいけません。社員が解決策を知っているからです。GMとフォードとクライスラーも同じだと思います。社員たちと時間をかけ検討を重ねれば問題解決の糸口がみつかるはずです。それを一貫性をもった説得力のある計画にすれば結果は必ず出せますよ。


●『派遣切り、減産… ゴーンが語る”ホンネ”
自動車業界で始まった非正規社員の削減。
人員削減の嵐は今や社会問題に。
自動車業界で3月までに職を失う人は約1万7000人に及ぶという。
Q.「自動車業界の人員削減はやはり仕方がないのか?」
A.残念ながら他に選択肢はありません。
企業は人を採用すると教育や研修をし、彼らは工場や事業所の家族の一員になります。絆ができます。従って人員削減するということはそれまで培ってきたもの、つまり、才能、時間、教育を無駄にしてしまうのです。
ですから人員削減の決断を下す前に慎重に協議をしなくてはなりません。人員削減は他に選択肢がないときにのみ実行します。もしこの危機が短期間で終わると考えていれば雇用を維持し、仕事が減って余った時間を利用して教育研修を行います。ですがこの危機は長く続きそうなんです。3ヶ月では回復しません。1年以上かかる可能性があります。あるいは2年続くかもしれません。先行きが不透明な中、自動車業界だけでなく他の業界でも人員の削減をせざるを得なくなるでしょう。企業にとってはもったいないことです。
Q.「雇用を維持するとどうなる?」
A.今年さらに状況が悪化して今の不況が続けばほとんどの自動車メーカーは赤字に転落します。利益が減ってしまうと製品や技術に投資ができなくなります。製品や技術の開発、事業の発展に資金を回す代わりに雇用の維持に努めると当面は痛みからは解放されるでしょう。しかし中期的には代償を支払うことになります。十分な投資や技術開発を進めていないため虎視眈々と狙っているライバルにとって代わられてしまいます。短期的にはなんとかなってもいずれ代償を支払うことになります。今回の危機がこれまでと違うのは円高、金融危機、そして不況が同時に起きていることです。アメリカの需要が40%も減少するのを見るのは初めてです。わずか1年でアメリカ市場が40%縮小した例はこれまで一度もありません。ヨーロッパも縮小しています。スペイン市場は60%減少しました。イギリスは40%の減少。自動車メーカーは慎重に対処しなくてはなりません。大きな嵐に直面しているのです。どんなに強い企業でも慎重にこの嵐から身を守らなければなりません。まずは誰もが認めるこの未曾有の危機から会社を守ることが大事なのです。


●『ゴーンが勝負を賭けた!電気自動車を大公開
去年10月パリ。
この地で2年ぶりに開かれたモーターショー。
その会場にゴーンの姿があった。
ゴーンはルノーの社長も兼任している。
マスコミの注目が集まる中、ルノーの次世代コンセプトカーを披露した。
その名も「Z.E.」。排気ガスゼロの電気自動車だ。同じ日、日産も電気自動車のコンセプトカーを発表していた。
車を取り巻く環境が悪化する中、世界の自動車メーカーは生き残りをかけて電気自動車の実用化一番乗りに鎬を削っている。
去年、ゴーンは新たな公約を掲げた。
「日産とルノーは電気自動車で業界のリーダーとなる」
日産はゴーンが来る以前から電気自動車の開発に取り組んできた。
実用化のカギとなるのがリチウムイオン電池の開発。
少ない充電時間でいかに距離とパワーを稼ぐかがポイントだ。
電池の開発を自動車メーカーが独自に行うのは珍しいという。
既に量産ラインができ、年間1万3000台分の製造が可能となっている。
ゴーンはコストカットの最中も電気自動車の開発費は極力削るのを抑えた。
それがいよいよ実用段階に入った。
○『村上龍の疑問
Q.「日産の技術はどの程度先行している?」
A.どのメーカーも電気自動車は作っています。ただ問題はその電気自動車を展示するだけなのか、もしくは実際に販売できるのかということです。それが大きな課題です。日産は業界で最初に電気自動車を量販したいと思っています。来年から発売します。今後は「誰が電気自動車を作っているのか」は関係ありません。「誰が大規模な投資をして何十万台という電気自動車を市場に出せるのか」そこに関心が集まっています。
Q.「ビッグ3への援助は不公平では」
A.確かに私たちには今、支援はありません。だけどアメリカ政府が自国の産業を支援して低い金利で長期的に融資をすればヨーロッパの政府も同じことをします。なぜならヨーロッパの自動車メーカーも政府に同じことを求めるからです。「アメリカのメーカーが支援を受けるのならば同じように支援をして下さい」とね。そうするとヨーロッパ各国の政府に対して圧力がかかります。なぜこんなことがわかるのか?実は私、今年ヨーロッパ自動工業会の会長になるんです。私自信がリーダーシップをとって政府に働きかけるつもりです。そしてアメリカやヨーロッパが支援をすれば日本の政府だけが「何もしません」なんて言いにくいと思いますよ。


●『不況に負けない!ゴーンいち押しのクルマ
去年11月、ロサンゼルスで開かれたモーターショー。
GM、クライスラーが新車の発表を見送るという異常事態。
会場はいつもの華やかさがない。
そんな中、ひと際多くの客を集めていたのが日産のブース。
この日、新型フェアレディZを世界に先駆けてお披露目したのだ。
自動車業界久々の明るいニュースにマスコミも注目した。
Zはファンにとっても日産にとっても特別な車だった。
初代Zが誕生したのは1969年。以来、日本を代表するスポーツカーとして君臨。
ボンネットが極端に長い独特のスタイルがいかにもスポーツカーらしくマニアの人気を集めてきた。
しかし日産の凋落で2000年、Zは生産中止となってしまった。
そこに現れたゴーン。
日産の再建を果たすと、2002年、日産のシンボルともいえるZを復活させた。
5代目Zは人気を呼び、世界で25万台を売り上げた。
ゴーンの理念のもとさらなる開発が続いた。
そして先月、6代目Zが世に放たれた。
ドアをアルミに変えるなど車体を軽量化。走行性能と燃費が向上した。
さらにインテリアにも開発費の3割をつぎ込み、よりゴージャスになった。
その生産を担った栃木工場。
出荷前のセレモニーでゴーンは、Zにかける想いをあえて日本語で従業員に語った。
「Zは日産のラインナップの中でも特別な車です。私にとってZは日産再生のシンボルです。景気低迷に揺れるグローバル市場を前にこれまでの姿勢を保つのは難しいかもしれません。しかしながら今の状況がいつまでも続くわけではありません。不安が去ったあかつきには日産は再び成長を回復し刺激的な新型Zのような商品で高い業績をあげるでしょう。」
○『村上龍の視点
「若者の車離れは問題では」
A.私は若い頃、中古車を持っていました。好きな新車を買えなかったからです。買える車しか買えなかった。ただとても古い中古車に乗っていたときも私は”Z”だとかそういう車に憧れていたんです。夢を見ていたんです。まだまだ若い人たちでもそういった憧れはあると思うんです。そうした若者はたくさんいます。しかしながら特に先進国の若い世代は別のものに興味が移っています。私たち日産は電気自動車をそうした若者にとって魅力あるものにしていこうと思っています。彼らは非常に環境に優しい車を求めています。また若者は自分ならではの車を求めていて電子部品で世界の人たちとつながりたいと思っています。電気自動車ならそれが可能です。私たちの課題は若者がいかに車に関心を持つかです。そのためにはこれまでにない車を提供します。

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