『カンブリア宮殿』 テレ東(月)22:00~
公式HP:http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
出演者:村上龍、小池栄子、鈴木敏文
◆カンブリアFile No.149 セブン&アイ ホールディングス会長 鈴木敏文
●『まわりは猛反対!コンビニを創った男』
鈴木は30歳の時、当時5店舗しかなかったヨーカ堂に入社。
それまで勤めていた本の卸会社からの転職だった。
最初に任されたのは店のPRを考える販売促進。
その後も人事や広報など、売場とは全く縁の無い道を歩んできた。
日本にマクドナルドが登場した1971年。
大量消費の波に乗り、イトーヨーカ堂もどんどん店を増やしていった。
39歳で取締役となった鈴木は、新しく出す店の地元との交渉を任されていた。
そんな頃、転機が訪れる。
小売りの先進国アメリカを視察した鈴木。
町でよく見かける看板が気になった。
”7”に”ELEVEN”のロゴ、それが「セブンイレブン」だった。
小さい店ながら食品から日用雑貨まで一通り揃っていて、年中無休でいつでも買い物が出来る。
コンビニエンスストアという日本には無いスタイルの店。
鈴木は思った。
“この店なら大型店と差別化できる。これはいける。”
鈴木は2年かけてセブンイレブンを口説き落とし、ライセンス契約にこぎつける。
そして1974年、東京江東区に国内第1号店をオープンさせた。
商店が夕方に閉まる時代に夜11時まで開いていて欲しい時にいつでも買える画期的な店だった。
ようやく誕生したコンビニ。
しかし、そこに思わぬ壁が立ちはだかった。
コンビニの最大の売りは品揃え。
例えば牛乳なら4つのメーカーのものを取り揃えた。
当然メーカーはそれぞれ別々のトラックで商品を運んでくる。
結果、店の外にはトラックが列を成し、1日に70台もやってきた。
1号店のオーナーもその状況に頭を悩ませた。
トラックが来る度に応対しなければならない。
店にとっても大きな負担だった。
そこで鈴木は常識破りの方法を思いつく。
”4社の牛乳を1社に運んでもらうことはできないか?”
さっそく部下を交渉に当たらせたが、メーカーは猛烈に反対した。
「他社のものなんか運べない」「うちのだけ売ればいいじゃないか」
だが鈴木は諦めなかった。
”こうした無駄をなくさなければコンビニに未来はない”
鈴木は粘り強くメーカーを説得。
そして1980年、牛乳の共同配送を実現させた。
それでも満足せず、遂には自分で物流を始めてしまう。
配送をとことん合理化し、1日9台にまで減らした。
鈴木の常識破りは商品にも及んだ。
今やコンビニには当たり前の商品「おにぎり」。
30年前、おにぎりは家で握って食べるもの、わざわざ買う人なんていないと、周りはこぞって反対した。
しかし鈴木は確信した。
アメリカのコンビニでハンバーガーが売れるなら日本ではおにぎりが売れるはず。
そして発売に踏み切った。
さらに鈴木は家で食べるおにぎりと差別化を図る。
食べる時に海苔を巻く独自の包み方(パリッコフィルム方式)を開発。
海苔にパリッとした食感を出した。
これでセブンイレブンのおにぎりは年間14億個も売れるメガヒット商品となった。
鈴木の常識破りは止まらない。
公共料金をコンビニで払えるようにし、お金を下ろせる銀行までつくって見せた。
鈴木のやり方は業界の常識となっていった。
今やセブンイレブンは全国に1万2000店。
売り上げは2兆7千億円を越えるダントツ1位の巨大チェーンだ。
小売りの素人から出発した鈴木は、今も業界の常識に挑み続けている。
●『コンビニ界最強! ”弁当”開発部隊』
セブンイレブンの強さの秘密は一体どこにあるのか?
それを探るためセブンイレブンの弁当を作るメーカーの工場(わらべや日洋 東京工場)を訪ねてみた。
弁当やおにぎりなどのファストフードは年間7千億円以上を売り上げるセブンイレブンの主力商品だ。
業界2位のローソンを大きく引き離す。
ファストフード売上高 | |
セブンイレブン | 7596億円 |
ローソン | 3328億円 |
若い男性に人気の牛カルビ弁当。この肉に人気の秘密がある。それは炭火焼き。
この工場では大量生産できる炭火焼きの機械をセブンイレブンと共同でつくり上げた。
チャーハン専用の機械もセブンイレブンと開発した。
蒸気を逃がしながら、より高い温度で炒めることができる
これによってパラパラした本格的な食感が可能となり今やチャーハンは人気メニューのトップクラスになっている。
●『最強弁当部隊 究極カレーに挑む!』
4月29日、東京・千代田区。
ゴールデンウィーク真っ只中。
しかし、年中無休のセブンイレブンは休まない。
この日も弁当の開発会議が開かれていた。
セブンイレブンでは週に1つ以上のペースで新たな商品を売り出している。
このチームを率いる和田は、カレーを改良したいと考えていた。
この会議に参加しているのは実はセブンイレブンの人間だけではない。
メンバーはセブンイレブン以外に弁当のメーカーが5社、さらに容器包装メーカーや調味料メーカーなどが参加している。
業種も会社も違うメンバーが一つのチームとなって商品を作り上げる。
この仕組みがセブンイレブンの強さだ。
カレー作りは2つの弁当メーカーが強力して担当している。
カレーは日本人の大好物。それだけにレトルト商品やチェーン店などライバルも多い。
そうした中でセブンイレブンのカレーは特徴がなく苦戦を強いられていた。
そこで今回高級感のある本格カレーで巻き返しを図ろうという作戦だ。
いよいよ試食。だが和田の表情が冴えない…。
そして、弁当メーカー(わらべや日洋)の中村さんに改善が託された。
数日後、中村さんが長崎県佐世保にやって来た。
向かったのはセブンイレブンと協力関係にある調味料工場。
ここは業務用のソースやスープの素を作っている、セブンイレブンの洋食弁当の味を陰で支える国内最大手のメーカーだ。
中村さんは、カレーソースの旨味を補うためこの会社を頼ってやって来た。
次に向かったのは諫早湾の干拓地。
先程のメーカーはここに広大な農地を所有している。
畑では完全無農薬の有機タマネギが作られていた。
タマネギを仕入れた中村さんは、会社に戻って試作品作り。
東京・千代田区。
そして、再び商品開発会議。中村さんに審判が下る。
試食が始まった…果たして今回は…。
チームとしてのOKが出た。
夏には、この新作カレーがお目見えする予定だ。