『カンブリア宮殿』 テレ東(月)22:00~
公式HP:http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
出演者:村上龍、小池栄子、平本清
◆カンブリアFile No.153 「21」創業者 平本清
●『3分で分かる「21」 日本一社員想いの会社』
日本一社員想いの会社。それが「21」。
広島を中心に128店舗を展開。現在年商83億円のメガネのチェーン店だ。
いつも客で賑わう店内、そこに並ぶのは激安2千円代のフレーム。
「21」ではどんな高級ブランド品も全て4割引きで売っている。
安さに客が集まる「21」。
なんと店員には一切の販売ノルマが無い。
その結果、転職者が殺到。今や社員の半数を占める。
そして極め付けの魅力がボーナスだ。
「21」のボーナスは業績次第で大盤振る舞い。30代で400万円も珍しくない。
さらに「21」は社員のためにレジャーボートまで買ってくれる気前のいい会社だ。
安さと高いボーナスの秘密が看板に書かれていた。
”利益を残さない”
実は「21」は普通の企業なら当然ある資金”内部留保”を蓄えていない。
内部留保とは企業の売り上げから人件費や株主配当などを差し引き、残った最終的な儲け。
これを企業は将来のリスクや新規事業のために蓄える。
ところが「21」は、この内部留保を商品の値下げと社員のボーナスのために全て使い切る。
会社の為より社員の為。
そして、恵まれた社員達も”出資制度”で「21」を支える。
例えば、新店舗の開業資金が足りなければグループ内で出資を募集。
すると、あっと言う間に資金が集まる。
なんと「21」では社員の7割が出資者。その出資金の総額は実に10億円近く。
これにより銀行借り入れも全く必要ない。
社員が主役の会社。
そんな独自の組織を作り上げたのが「21」創業者・平本清である。
●『会社の革命児 原点は”リストラ”』
来年、還暦を迎える平本。日々社員との会話を欠かさない。
平本が身をもって伝えるのは、”会社とは社員一人一人が作り上げるべきもの”。
そんな平本の想いの原点には、実はある厳しい過去の経験がある。
広島県下では大きなシェアを誇るメガネチェーンA社。
実は平本ここの社員だった。
1968年、高校を卒業した平本はA社に入社。
カリスマ的な創業者の下、営業マンとして抜群の売り上げ成績を収める。
ところが創業者の後を二代目が継ぐと、そりの合わない平本は社内システムを作る電算室に異動となった。
会社の様々な情報が入ってくるこの場所。
そこで平本はある事実を目の当たりにする。
「え、赤字すれすれで売っとるはずなのに…」
実はA社のグループには巨額の内部留保が存在していたのだ。
「こんなに巨額な資金をなんで貯める必要があるんか?」
その後リストラの憂き目にあった平本はあることを決意する。
”会社が利益を蓄えない社員のための会社を作る!”
そして1986年、数人の仲間と「21」を立ち上げた。
起業から23年、平本の「21」は、あのA社をも凌ぎ、広島トップシェアの座を勝ち取った。
実は「21」の革命的な組織を作り上げる過程で平本が常に拠り所としてきた経済書がある。
それは2千年程前に書かれた「論語」である。
そこにある、「21」の根本となっている、孔子の言葉『恕』。
『恕』とは「人からされたくない事は自分も人にはしない事」。
つまり、「他人を思いやる心」だ。
一つのリストラが社員同士を思いやる革命的なシステムを日本経済に産み落としたのである。
●『管理職がいらない会社』
広島市、「21」本社。
実は「21」には到底信じられない事実がまだある。
創業者の平本、彼は社長ではない。
では一体社長は誰なのか?
案内してもらうと一階の店舗に、社長の田川がいた。
ところが社長業はしていないという。
社長とは名ばかり。
実は、「21」の会社を取り仕切っている人は2階にいる、6人の女性達。
「21」はこの6人の女性が本部となり、それ以外の社員達は社長も店員も全てが平等。
「21」は管理職がいない組織なのだ。
しかし、管理職がいなくて本当に会社は回るのか?
その秘密はパソコンにあるという。
「21」では社内のありとあらゆる情報がネットで全ての社員に公開されている。
各店舗の経営状況や開発中の商品のミーティングの内容、さらにはなんと個人の給与まで全て公開。
隠し事をしないことで管理職はいらなくなるという。
【管理職はいらない!(1) 仕事の相談はネット】
管理職はいらないというが、では仕事の悩みを上司に相談したい時はどうするのか?
答えは簡単。悩みを社内ネットに書き込むのだ。
そしてその相談を見た別の社員がアドバイスを寄せてくれることで問題は解決するという。
【管理職はいらない!(2) 社内稟議はネット】
では会社の経費で何か買いたい時は…。
「21」では、買いたい物をネットで提案してから3日間誰からも異論がなければ社内稟議が通ったとみなされる。
【管理職はいらない!(3) 人事評価もネット】
では現場の社員達の人事評価は一体誰がするのか?
「21」の社内ネットを開くと、なんと全社員に対する人事査定の点数が包み隠さず公開されていた。
「21」の査定は本部によって勤続年数、会社への出資額、店舗への貢献度で決定されている。
査定点数に異論があればネットで異議申し立ても可能だ。